オンラインアート購入プラットフォーム比較とまとめ:生き残りをかけた戦略とは?
- Wakana Kaitani
- 2024年9月9日
- 読了時間: 5分

アンディ・ウォーホルの誕生日である先月6日にアンディ・ウォーホル・ファウンデーション・フォー・ザ・ビジュアル・アーツがeBay for Charityのプラットフォームで、所蔵品の中から400点以上をセールに出し、その収益を全国の数十の芸術NPOに寄付することがニュースになった。
このようにここ数年で、アート購入のための、もしくはアート購入が可能なプラットフォームの存在感は急激に強くなっている。そこで今を代表するオンラインアート購入プラットフォームをいくつかピックアップし、比較・まとめた。また、これらのプラットフォームの特徴から今後も増えるであろうオンラインアート購入プラットフォームの生き残り戦略を考察する。
先月、話題になったeBayは、世界最大級のオンラインマーケットプレイスである。アート作品の売買もその一部として行われている。ただし、他のプラットフォームと異なり、幅広いカテゴリーの商品が取引されるため、アートに特化したサービスやサポートは限定的である。それでもなお、eBayのスケールとグローバルなリーチは非常に大きな魅力であり、特に手軽にアート作品を購入したいユーザーにとっては便利である。
ほかにもコレクターのためのプラットフォームとしては、オランダに拠点を置くCatawikiがある。Catawikiでは漫画原画やイラスト、アンティークやコレクターズアイテムなどを中心に取り扱われてきたが徐々にアート分野に進出している。専門家が各オークションを監督するため、信頼性が高く、特にアート作品の真贋に関して安心して取引ができるという特徴がある。アート分野では、特にユニークな作品や限られたエディションを求めるコレクターに支持されている。
アートを専門に取り扱うプラットフォームとして有名なのは、ArtsyやSaatchi Artなどであり、これらは日本の「Tagboat」や「Art Sticker」と同じ従来のマーケットプレイスといえる。
Artsy: グローバルなアートマーケットプレイスとして、ギャラリーやアーティストと提携し、多様なアート作品を提供。AIを活用したレコメンデーション機能もある。
Saatchi Art: ギャラリーのオンラインマーケットプレイス。特に新興アーティストの作品を多く取り扱う。
近年、とくに注目されているのが「Avant Arte」や「MyArtBroker」といったデジタル発祥のプラットフォームだ。これらのは、それぞれ異なるアプローチでアート収集をサポートしており、特に若い世代、デジタル・インターネットネイティブのコレクターをターゲットにしている。
MyArtBrokerは、主にブルーチップのプリントや複製画を扱うプラットフォーム。アート市場のデータや専門家によるサポートを提供することで、ユーザーが安心して取引できる環境を整備。特徴的なのは、ユーザーに個別のブローカーがつき、作品の売買をサポートする点である。この透明性と信頼性の高いサービスは、特にアート市場に初めて参入する新しいコレクターに人気。
Avant Arteは、リミテッドエディションの作品制作にアーティストが直接関与する点で注目されている。特にZ世代のコレクターをターゲットにしており、デジタル・インターネットネイティブ向けに設計されている。アーティストとのコラボレーションにより、作品のユニークさと価値が高まり、若い世代に強く支持されている。
近年、現代アートに特化したプラットフォームが台頭する中、ファインアートを扱うARTEXなどのプラットフォームも注目を集めている。
ARTEXは、クラシックなアート市場とデジタル時代の技術を融合させることで、多様なコレクター層にアプローチしている。歴史的な価値がある伝統的なアートやブルーチップ作品の取引に強みを持ち、信頼性の高い投資機会を提供している。これらのプラットフォームは、デジタル技術を駆使して市場の透明性とアクセス性を向上させ、従来のギャラリーやオークションハウスに代わる新しい取引の場を提供。ブロックチェーン技術による作品の真正性確認や、オンラインバーチャルギャラリーの提供により、コレクターはどこからでも作品を鑑賞し取引が可能。
プラットフォームの増加と生き残りの鍵
これらのプラットフォームが増加している背景には、アート市場のグローバル化とデジタル化があります。パンデミックをきっかけにオンライン取引の需要が急増し、従来のオークションハウスやギャラリーもデジタル戦略を強化している。
生き残りの鍵となる要素には、以下が挙げられる:
透明性と信頼性: プラットフォームが提供する情報の透明性、特に作品の真贋や価値評価における信頼性は、コレクターにとって極めて重要。例えば、ARTNETのような詳細な市場データやMyArtBrokerのような個別ブローカー、Catawikiの専門家によるサポートがこれを実現している。
ユーザー体験: モバイルアプリの利便性、AIによるパーソナライズドレコメンデーション、直感的なUI/UXなど、購入者がスムーズにアート作品を見つけて購入できる体験が重要。
アーティストとのコラボレーション: Avant Arteのように、アーティストと直接コラボレーションして限定版作品を提供するモデルもある。
グローバルリーチ: 国際的なマーケットプレイスを提供し、広範なコレクター層にアクセス。
透明性と信頼性、アーティストとのコラボレーションによるリミテッドエディションの制作などに優れ、グローバルリーチの広いプラットフォームが海外に出現しはじめているため、日本国内のコレクターも海外プラットフォームで活発に購買活動を行いはじめているようにみえる。
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