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ドイツ発HUGO BOSS、20年以上にわたるアート支援活動の発展とアート界における今日の存在感

  • 貝谷 若菜
  • 2024年7月18日
  • 読了時間: 5分

1923年にドイツにて創設され、当初はレインコートやオーバーオールなどの作業着ブランドであったHUGO BOSSであるが、1953年に発表したメンズスーツが人気を博し、今日では世界的なラグジュアリーブランドおよび高級スーツメーカーとして知られている。

その後、1995年のGlobal Art Programを開始し、今日に至るまでコンテンポラリー・アート界で多大な影響力をもっている。本記事では、そんなHUGO BOSSのスポンサー事業とその動機、アート活動、アート界での影響力に着目する。

文= 在オランダ ジャーナリスト 貝谷若菜 


HUGO BOSSのスポンサー事業は大きくアート、スポーツ、ブランドの3つに分かれている。アートでは主にコンテンポラリー・アート分野での活動、美術館とのコラボレーションに重点をおき、スポーツでは、ゴルフ、ウィンタースポーツ、テニス、陸上、またブランドではポルシェとのコラボレーションをおこなっている。

3分野における包括的なスポンサー事業の目的をHUGO BOSSはウェブサイトで以下のように説明する。


「優れた芸術作品、スポーツにおける目を見張るような目標、そして、実りあるコラボレーション。アート、スポーツ、そしてブランドとのコラボレーションは、ワクワクするストーリーを語り、ブランドの世界的な認知度を高め、ファッション界以外でも目にみえるものにします。」
(”Art, sport and brand collaborations tell exciting stories and strengthen the worldwide awareness of our brands, making them tangible even outside of the fashion cosmo”)

「ファッションは、個人と社会との接点であり、個性と環境との対話への誘いとして捉えることができます。同時に、それは芸術的創造性の表現でもあります。そのため、コンテンポラリー・アートへの支援は、20年以上にわたって我々の企業文化の不可欠な一部となっています。HUGO BOSSにとって、ファッションとアートの類似性は紛れもないものであり、どちらも人に自分自身と環境を新しく異なる方法で体験する機会を与え、新しいアイデアに触れさせ、寛容でオープンな心を育てます。このことを念頭に置き、ファッションとアートの相互作用を促進し、グローバルな大衆との対話を促すことが、私たちの長年の目標です。さらに、さまざまな現代アートの展覧会やプロジェクトを定期的に支援しています。」

具体的なアート関連活動としては、

①HUGO BOSS Art Prize (1996-2020)

②HUGO BOSS ASIA ART Award (2013-2019

③展覧会とプロジェクト(1995-2020)

を実施している。*カッコ内は各イベント最新実施年を記載



①HUGO BOSS Art Prize

HUGO BOSS Art Prizeはソロモン・R・グッゲンハイム財団の協力で実施されるコンテンポラリー・アートを対象にした章である。

1996年に創設されたこの賞は、隔年開催で、年齢、性別、国籍、媒体の制限を設けておらず、現代において最も革新的で影響力のあるアーティストの功績を称える賞である。審査委員会はグッゲンハイム美術館館長をはじめとする著名な美術館の館長、キュレーター、批評家などからなり、受賞者には運営のソロモン・R・グッゲンハイム財団から賞金10万ドルが授与される。

また、受賞者はニューヨークのグッゲンハイム美術館での個展で作品を展示する機会も得る。20年間でHUGO BOSS賞はコンテンポラリー・アート界で最も知られた賞のひとつとなった。その理由は、世界的な美術館の協力、経験と知識の豊富なアート界を牽引する審査委員やマシュー・バーニーをはじめとする過去の受賞者の実力やその後の功績からも一目瞭然である



②HUGO BOSS ASIA ART Award

HUGO BOSS ASIA ART Awardは、大中華圏および東南アジア地域のアーティストを対象に2013年に始動したアワードである。このアワードは、対象地域の交流を促進し、活気あるアートシーンに注目させることを目的にHUGO BOSSが上海のロックバンドアート美術館とともに開始したものである。このアワードは広範な展示、研究、教育プログラムを特徴としており、このプログラムを通じて、この地域のアートコミュニティ間の対話を促進し、世界的な現代アートの発展をさらに奨励し、影響を与えるためのコラボレーションを生み出している。特に着目されるのはアジアの新進アートシーンの豊かな多様性、新鮮な視点、新しい物語を称える姿勢である。


また、上海のロックバンド美術館がキュレーションするこのアワードは、アジアという文化地域に新たな光を当ててきた。このアワードは、若手アーティストに作品発表の機会を提供し、国境を越えたネットワーキングの場(若い才能のためのプラットフォーム)としての機能を持つ。結果的にアジア地域のダイナミズムを表現し、地域間の多様性と差異を示すことに貢献した。受賞作品としてロックバンド美術館で展示された作品は、絵画から彫刻、インスタレーション、ビデオアート、パフォーマンスアートまで、芸術的に幅広いものであった。



③展覧会とプロジェクト

アート賞の受賞に加え、世界中行われる現代美術展の支援も行っている。そのため、ロンドンのサーペンタイン・ギャラリー、ドイツのヴァイル・アム・ラインにあるヴィトラ・デザイン・ミュージアムなど著名な美術館やアート機関と協力関係を保っている。


日本でも、2005年11月17日~2006年3月5日に原美術館(東京・品川)にて、HUGO BOSS PRIZE 2002の受賞者であるデンマーク出身の作家、オラファー エリアソン(Olafur Eliasson)の「オラファー エリアソン 影の光展」を協賛した。


*原美術館(東京・品川)は、2021年1月11日[月・祝]に閉館、2021年4月以降は原美術館とハラ ミュージアム アークを統合した、「原美術館ARC」が群馬県渋川市に所在する。

他にも、HUGO BOSSは数ある社員向け特典のひとつにヒューゴボスアートパスを導入している。このパスは、ニューヨーク、ロンドン、パリ、シュトゥットガルトなど、世界中の厳選された美術館への無料入場を可能にする。


2020年以降、アート関連の活動はポーズ状態にあるが、ファッションブランドであるHUGO BOSSがアートの専門機関である美術館との連携により、コンテンポラリーアートに関する知見を広め、実績を積み、その結果として、アート界で牽引するアワードとなった事例から、日本でこれからアート活動の始動にむかう企業が学べることは多いのではないだろうか。


ART iTによる関連記事「アートの支援者たち:The Hugo Boss Prize」

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