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オランダで美術館に集う日本人ビジネスパーソン

  • 貝谷 若菜
  • 2023年4月25日
  • 読了時間: 6分

「日本人のビジネスパーソンが美術館に集う」という聞き慣れないフレーズを怪しみながらリンクを踏んでくださった方もいるかと思います。結論から言うと、オランダでは在オランダの日本企業に勤める日本人のビジネスパーソンも美術館に集います。


今回は先日、アムステルダムにあるレンブラント・ハウス美術館 (rembrandthuis museum) で催された日蘭貿易連盟(DUJAT)主催の交流会の様子をお伝えし、企業と美術館がどのような文脈でどのようにWin-winな関係を築いているのかを考察してみます。



レンブラント・ハウス美術館の外観(貝谷撮影)


日蘭貿易連盟は日本に(少しでも)関係のある企業であれば、加入できる組織で、2ヶ月に1度のペースでゴルフや、日本旅行、プレゼンテーション、大学の取組み視察、美術館見学などのイベントを企画、運営しています。現在、メンバー企業は167と大規模の組織です。(この組織の運営はなんと3人のみです。)



日蘭貿易連盟(DUJAT)のメンバー企業の数(2023年5月2日時点)


今回のイベントは4カ月間の改装工事を終え、2023年3月18日にリニューアルオープンしたアムステルダムのレンブラント・ハウス美術館にて開催されました。


レンブラント・ハウス美術館は「夜警」で有名なオランダを代表する17世紀の画家レンブラント・ファン・レイン(Rembrandt van Rijn)が1639年から20年間住んだ家を利用した博物館および美術館です。


17時のオープニングに向けて美術館に向かうと、美術館自体は18時までオープンなため、入口付近はかなり混雑していました。



口付近の様子(貝谷撮影)


関係者のみ立ち入り可能な4階へ導かれ、こぢんまりした屋根裏部屋/物置にたどり着きました。なんといっても家を美術館に建て替えた場所なので、スペース自体が狭く天井も低く、今回のイベントの定員は20名程度でした。


その中には日本の大手銀行、保険会社、国際的なコンサル・ファーム、弁護士事務所などからの参加者がいて、スーツを着た日本からの駐在員の中年男性が多い印象でした。


オープニング・スピーチは近所のファン・ゴッホ美術館(Van Gogh Museum)のビジネス担当者とレンブラント・ハウス美術館のシニア・キュレーター、そして同美術館のデベロップメント・マネジャーの3名によって行われここで、美術館の歴史と改装の詳細(改装によりレンブラント作品が30%増加 etc.)や日本とレンブラントの関係性(越前和紙を使用していたことや兜を所有していて、それが展示に新しく加わったことなど)をキュレーターの方が話してくれました。


日本人の参加者も大きく頷きながら彼女の説明を聞いていました。

美術館/博物館という歴史・文化遺産の残る場に集うことで日本とオランダの関係性を語り、学びそして交流の場にしているのです。このように美術館を活用することで一見、関係のないビジネスとアートの接点をうまく作っています。


(この部屋の様子は写真に撮れなかったのですが、ファン・ゴッホ美術館のビジネス担当者がレンブラントの「夜警」が背中一面にプリントされたシャツを着ていたことがとても印象的でした。)


2時間あるイベントのうち、前半の30分は新しく導入されたマルチメディア・オーディオガイドを手に各自が美術館を体験します(日本語も対応)。




マルチメディア・オーディオガイド(貝谷撮影)


美術館そのものは非常に質が高く、コレクションも充実しています。美術館に苦手意識を感じる人でも、展示空間が広すぎず、家という落ち着いた雰囲気の中でレンブラントのストーリーが語られるため日本人にも愛される美術館であることに納得です。


私(貝谷若菜)自身はアートとは関係のない別の仕事で参加していたので、今週のレター内容を密かに考えながら展示を見て回りました。展示の様子は以下の写真をご覧ください。



キッチンと参加者の様子(貝谷撮影)


展示を見て回る参加者たち(貝谷撮影)


アメリカのコレクションを借りて開催されている企画展の様子(貝谷撮影)


玄関ホールの様子と展示を眺める日本人ビジネスパーソン(貝谷撮影)


日本人の参加者も積極的に、キュレーターの方に作品やレンブラントの歴史、コレクションの兜についてなどの質問をしている姿が非常に印象的でした。



レンブラントの所有していたポルトガルと日本のエッセンスが融合した兜(貝谷撮影)


日本人のビジネスパーソンの1人が、「この兜は日本で見るのよりも装飾が少ないですね。」とつぶやくとキュレーターが、これはポルトガルが銃を開発した時に日本がポルトガルの兜の要素を取り入れて作った銃にも耐えられる兜だと解説をしていました。純粋に質問をして、展示を楽しむビジネスパーソンを見ることは日本では稀な気がしますが、読者の皆様にとっては日常かもしれませんね。


後半の30分はレンブラントの使った版画技術を再現するエッチング・デモンストレーションに参加しました。一般公開びも20分1回行われているデモンストレーションです。



エッチング・デモンストレーションの様子


デモンストレーションが終わると、ドリンクと交流の会場(地下のエントランス)に移動するように声がかかりましたが、まだまだ見足りずにオーディオガイドを手に展示を見て回る参加者がほとんどでした。


レンブラントが気に入っていた採光のコンデションがいい右奥のスペース(貝谷撮影)


ドリンクと交流会の様子


イベントのメインである交流会では、ビジネスパーソンたちが美術館担当者に名刺を渡し、次回は家族を連れてきたいと話したりしていました。美術館担当者は美術館のスポンサー活動への声かけや社内イベントでのスペースの貸し出しなどについても紹介していました。


興味本位で私のオランダ人の社長に「うちは美術館のスポンサーは市内の?」と聞くと、前回、美術館を訪れた際にスポンサーになるためのサインをしたと話していました。ここで私が感じたのは、こうした小規模な美術館イベントは特に小規模な会社のスポンサーを集めるのに適しているということです。実際に、こういった機会で美術館のスポンサーになる企業も多いようです。


帰り際に美術館のファンドライジング担当者にオランダの美術館がどのように企業や一般から入場料以外の資金を集めているのか少し質問してみると、話すと長くなるからぜひ別の機会に話しましょうと言ってくれて、再来週にミーティングをすることになりました。


2025年にレンブラントの巡回展が日本に来ることもあり、ぜひ日本のアート・ビジネス関係者にオランダのシステムから学べることがあれば、力になりたいし、共有したいと言ってくれていました。



最後に出口で今回のイベントのために数量限定で生産されたキッコーマンボトルをいただきました。日本企業でレンブラントハウス美術館をスポンサーしているのがキッコーマンだということにも驚きです。



レンブラント・キッコーマンボトル(貝谷撮影)


【余談】

ビールやワイン、軽食も用意され遅くまで賑わう会場でした。通常のイベントでは日本食の立派な夕食が出るので、夕食に期待していましたが、植木鉢に見えるトリュフの料理と貝殻のような黒いチーズクラッカーに乗った枝豆の料理で、おしゃれでしたが少し残念でした。


*前回はシザーケースのようなウエストポーチに海鮮などの具材や海苔、ご飯をいれたスタッフが目の前で腰から取り出し、手巻き寿司を作ってくれるというものでした。アートフェアでの回転寿司といい、手巻き寿司パフォーマンスといい斬新ですよね。。。


交流会で出てきたなんやら高そうな軽食(貝谷撮影)


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